オカヤドカリの飼育には必須の砂ですが、どんな砂を使えばいいのか初心者の方は迷われているんじゃないでしょうか。
ペットショップやネット通販ショップで売られている砂を見ていただけたら分かると思いますが、一口に「砂」といっても、粒の大きさや材質には実にさまざまなものがあります。
まず粒の大きさについて。さきほど「オカヤドカリにとって砂はベッドのようなもの」と書きましたように、オカヤドカリが潜ることができる粒の大きさであることが肝心です。粒は細かいほど潜りやすいようです。実際に、大きめの粒の砂と細かめの粒の砂を両方設置してみると、細かめの粒の砂の方にオカヤドカリは集まるそうです。
ちょっと考えれば分かりますが、大きな粒は体の小さなオカヤドカリにとってみれば巨大な岩になりますよね。岩をかきわけて潜るのは至難の業です。玉砂利なんかはもってのほか!ということになります。
また、オカヤドカリは砂を飲み込んで、食べ物の消化の手助けに使っているんじゃないかという説があります。ニワトリなどと同じように、砂粒がこすりあって食べ物を細かくすりつぶし、消化吸収を促しているのではないかというお話です。この説から考えても、細かい粒でないと飲み込めませんから、粒は小さければ小さいほどよいと言えるのかもしれません。
ただ、砂洗いのときのことを考えると、細かすぎる粒の砂は水と一緒に洗い流されてしまうため、洗って再利用するのには向いていません。ザルの目から流れ出てしまうパウダー状の砂を使う場合は、使い捨てにするしかなさそうです。
以上のことを踏まえて、砂の粒の大きさの選択は飼育方法に合わせて選択してみてください。いくつかの大きさの粒のものをブレンドして使ってもいいですし、水槽の半分は細かめの砂、もう半分は大きめの砂というふうに設置して、オカヤドカリ自身が気分や体調によって選べるようにしてやるのも面白いと思います。
次に材質ですが、材質は特にこれでなくてはいけないとか、この材質の砂は使ってはいけないということはないようです。オカヤドカリの飼育用として一般的に使用されている砂は、「珊瑚砂」と川砂や砂場にあるような普通の細かい粒の石の砂です。珊瑚砂は、死んだ珊瑚の細かい破片が粒状になっている砂です。珊瑚には海のミネラル分が含まれているので、オカヤドカリの飼育者に人気が高いようです。
珊瑚砂と普通の砂も、好みで選べばよいと思います。ブレンドしたり、区画を分けて設置してもいいでしょう。かわいい「星の砂」をブレンドしたり、砂の表面にまいておくのも、おしゃれでいいかもしれませんね。
ちなみに管理人の水槽では、砂を層にして、深いところには荒い目の珊瑚砂、その上に厚く細かい目の珊瑚砂を入れています。水分の浸透圧や水はけのことを考えて、なんとなくそうしています。植物の鉢に入れる土も、底の方に目の粗い石を入れたりしますよね。これがベストな使い方なのかどうかは分かりませんけれど。
砂底に「
ゼオライト」という天然鉱石を薄く方法もあります。「
ゼオライト」は、ハイドロカルチャーという植物の水栽培法で水質改善・根腐れ防止剤として使用される粒上の石ですが、水質の中和作用以外にも、アンモニアや雑菌の吸収、防臭効果や遠赤外線効果もある石粒です。水槽の底には霧吹きした水の余分な水分が溜まりやすく、雑菌や臭いの原因になったりしますから、「
ゼオライト」を底に敷いておけば、それらの予防になるようです。
管理人も「
ゼオライト」を砂底に敷いて使っています。水槽内の臭いがなくなりましたから、効果はあるようです。薬剤ではなく天然鉱石なので無害ですし、何度も洗いなおして使えるのも便利だと思います。
水槽に入れる砂の分量は、飼育しているオカヤドカリの体高(貝殻の高さも含める)の2倍以上、もしくは10cm以上必要です。おおまかな目安としては、45cm水槽では15kg程度、60cm水槽では20kg程度になります。これは結構な分量なので、大袋でまとまった分量を購入した方が経済的です。
余談になりますが、オカヤドカリの仲間「ヤシガニ」は脱皮のときに2m以上深く砂に潜るんだとか。飼育するときには2m分の砂を用意してやらなきゃいけませんね。これに比べればオカヤドカリの砂10cm分はかわいいものです。
砂洗いは、理想的には月に1〜2回行うのがいいのですが、大量の砂洗いとなると労力も時間もすこぶるかかります。省エネ対策するとしたら、糞などで汚れた部分だけをスコップなどで取り除き、そこに予備の砂を補充する方法があります。取り除いた砂は、バケツなどに入れておき、何回分かたまったら、まとめ洗いして、次回の補充用にストックしておきます。この方法なら、水槽の大掃除は年に数回程度でいいかもしれません。
砂の洗い方は「
オカヤドカリの飼い方」を参考にしてください。みなさんも、いろんな設置方法を工夫してみてくださいね。
水槽の砂の湿らせ具合は、実は難しい問題なのです。大きくは「ドライ(乾燥)派」と「ウエット派」に分かれるようです。それぞれにメリットとデメリットがあって、どちらが優れているのかはまだ分かっていません。
ドライ派は、なるべく砂を乾燥した状態に保つ飼育法です。雑菌やカビの繁殖を抑えられるメリットがありますが、乾燥した砂にはオカヤドカリが潜りにくいのと、水槽内の湿度を維持するのが難しいというデメリットがあります。
ウエット派は、砂を常にしっとりと湿った状態に保つ飼育法です。砂が崩れにくいので潜りやすく、オカヤドカリは潜ったままの状態で砂から水分を補給することができますが、雑菌やカビが増殖しやすいので清潔さを保つのが難しくなります。
どちらも一長一短なので、お好みでどうぞというほかないのですが、管理人はどちらかというとウエット派です。最初はドライ派でいこうと思ってましたが、水槽内の湿度維持のために霧吹きをしていると自然に砂が湿った状態になってしまったのと、適度に湿った状態のほうが特に小さなオカヤドカリには潜りやすそうだったためです。
ウエット派の最難関・湿りすぎには、上に紹介した「
ゼオライト」を砂底に用いたり、流木の根元を水槽の隅の底に当たるよう設置することで余分な水分を流木に吸わせる対処法があります。
さて、あなたはドライ派になりますか? ウエット派になりますか?